普段の私は,ニュース以外は殆どテレビを見ないのですが,日曜日の夜に放映されているドラマ「日本沈没」は,欠かさず見ています.
原作は1973年に刊行された小松左京のSF小説です.著者は兵庫県立神戸高校の先輩でもあり,他の名作「復活の日」とともに小説だけではなく,映画も見ました.
日本沈没では藤岡弘が主役で,復活の日では草刈正雄が主役でオリビア・ハッセーも出演していました.
その後,まさか阪神大震災や東日本大震災などが起こるとは予想もしなかったので,今回のテレビ放映は,より臨場感をもって見ています.
当時の私は文学青年で,推理小説では松本清張,歴史小説では井上靖や司馬遼太郎の作品を読み漁っていた時期でした.
松本清張の小説は,犯罪動機を深く掘り下げていく手法が面白く,電車で読んでいる時には降りる駅を通り過ぎたり,駅を降りてもすぐに改札を出ず,ホームで続きを読んだこともありました.「ゼロの焦点」や「砂の器」は今でもよく覚えています.
井上靖の小説や随筆は,ほぼ全部読みました.東京神田の古本屋街で絶版となった小説を発見して喜んだこともありました.
「蒼き狼」や「風林火山」が印象的でした.「わが人生観」は,著者の実直な人間性が分かる随筆でした.
司馬遼太郎の「街道を行く」シリーズは全43巻ですが,ほぼ全部読みました.単なる旅行記ではなく,作者独自の取材から考察していく手法は絶妙でした.
それ以外では,戦国武将の動向や心理状態を描いた小説「関ケ原」も名作と思います.私の日本史の知識は,教科書よりも,これらの書物から得たものが多いと思っています.
医師になってからも,医学論文よりも小説や随筆を好んで読んでいたので,学会発表や論文を執筆する時は,その思考過程が「理系」らしくはなかったかもしれません.
もちろん,手術や外来診察ではEBMに基づいた理詰めの思考過程が必要ですが,臨床の場においては,患者さんの今までの人生経験や生活環境,現時点での心情などに配慮した診療も大切と思っています(これをNBMといいます).
ある優秀な中堅の後輩医師と雑談をしていた時,「先生は文系の医師ですね!」と言われたことがありました,
私は,きっと褒められたのだと思っています.
小規模介護老人保健施設ふれあい大島
施設長 龍田眞行
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